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丸紅ファッションリンク株式会社様

煩雑になりがちな貿易関連帳票をペーパーレス化、さらにRPAによる自動化でDX推進を加速

丸紅ファッションリンク株式会社(以下、丸紅ファッションリンク)は、丸紅グループの繊維・アパレル専門商社である。衣料品の企画や生産をはじめ、衣料品用の素材開発事業なども手がけている。国内外の多数のアパレル企業との取引実績を持ち、グローバルなビジネス展開を行っており、貿易関連をはじめとした伝票・帳票の処理も煩雑になるため、ペーパーレス化、DX(Digital Transformation)の推進は大きな課題のひとつであった。

こうした背景もあり、丸紅情報システムズ株式会社(以下、MSYS)が提案するMSYSペーパーレスソリューション(以下、ペーパーレスソリューション)を導入するに至っている。導入の経緯や、その効果について、丸紅ファッションリンクの財務経理部 貿易課 豊田 高寿課長に話を聞いた。

  • より効率的に、手作業の必要がないペーパーレス化を推進したい
  • RPAによる自動化の活用で業務の効率化を図り、DXを推進したい

■ペーパーレスソリューション導入の背景

1.煩雑な伝票・帳票管理をペーパーレス化で効率化したい

丸紅ファッションリンクでは、個々のファッションアイテムの企画や生産はもちろん、海外のアパレルブランドそのものを扱うなど、幅広い業務を担っている。取引先も国内だけでなく海外のアパレル関連企業も多い。使用する伝票や帳票類も、種類・数量ともに多いため、伝票処理自体が非常に煩雑であったという。

「実は、ペーパーレス化についての取り組みは、以前からありました」と豊田氏は話してくれた。

「ただ、以前から使っていたシステムは老朽化しており、紙の伝票・帳票から必要な情報を手作業で入力しデータ化するのに手間がかかっていました。データ化後はペーパーレス化のプロセスになりますが、初期の入力作業がとても大きな負荷でした」という。

しかも、既存のシステムはオンプレミスタイプのものであったため、システムの管理やメンテナンスの煩雑さも大きな課題となっていた。「これまでも、2年に1回の頻度でサーバの増設が必要でした。データ容量が増えてきた状況で、サーバの増設をしないでいると、システムの挙動がおかしくなり、システムエラーが発生するなどの不具合もありました」と当時を振り返る。

2.全社的なDXの推進に役立つペーパーレスソリューションが魅力

現在、丸紅ファッションリンクでは、全社を挙げてDXを推進している。ペーパーレス化はその一環だが、より重要なのはDXを推進することによって業務効率を改善し、生産性を高めることだ。こうした課題の解決を図る上で、MSYSのペーパーレスソリューションの提案は魅力的だったという。

「MSYSからのペーパーレスソリューションの提案は、単に紙の伝票や帳票をデジタルデータ化して、ペーパーレス化を実現するというだけではなく、RPA(Robotic Process Automation)も効果的に活用することで、人手に頼っていた業務処理を自動化するというものでした。まさにDX推進に役立つ有意義な提案だと感じました」という。

■導入プロセスと、導入後の効果

1.MSYSのきめ細やかなフォローで、実質5カ月でのスムーズな導入を実現

導入を決定したのが2024年4月で、本格的に稼働したのが同年10月。専用のドキュメントスキャナーや、画像化した伝票や帳票を自動で仕分けるMAI-Preparator、高い精度で画像を読み取りデータ化するDX Suite、文書管理ソリューションであるinvoiceAgent、さらに純国産のRPAツールであるWinActorといったペーパーレスソリューション一式を導入した。キックオフ直後の2カ月程度は、丸紅ファッションリンク内の運用のための社内検討期間であったため、これらソリューションの実際の導入作業期間は5カ月程度の短期間であった。

「キックオフ当初から、MSYSのRPA技術者が専属で導入に携わってくれて、要件定義や設定作業など、我々が気づかない細かな点などをフォローしてくれたこともあり、作業はとてもスムーズでした」と導入が円滑であったことを評価する。

2.期待以上の導入効果を実感

一連のペーパーレスソリューションを導入するにあたって、豊田氏は多少の不安があったという。「実際に読み取り精度がどれほどなのかは、不安も感じていました。しかし、稼働してみると、とても高い精度で読み取りができており、非常に良かったです。

また、読み取りがうまく出来なかった処理に関しても、例えば、間違ったままINVOICE AGENTへ帳票書類を格納されてしまうことがあっても、エラー表示が出るようになっています。そのおかげで、仕分けが間違ったままで格納されてしまい、次のプロセスに流れて支障をきたすという事がないようになっています。

一連のペーパーレスソリューションのおかげで、業務効率が大幅に向上しました。特に、導入効果を実感しているのは、RPAによる自動化です。以前は、伝票や帳票に書かれている取引先の基本情報や受発注のアイテム名、数量などを手作業でデータエントリーすることが不可欠でした。また、保管した文書を迅速に検索できるように、検索要件を手入力しており、月間650件~750件の入力作業が発生していました。しかし、今ではそうしたデータエントリー作業はほぼなくなり、その時間をよりコアな業務に注力できるようになりました」と、自動化の成果が大きかったという。

紙の伝票や帳票と、データとして受領する伝票や帳票が混在する中で、DX SuiteやMAI-Preparatorなどのツールを駆使して、デジタルデータとしてすべて一元管理・保管できるようになった。さらに、必要な分類・仕分け作業や、伝票・帳票から抜き出すべきデータ項目を抜き出して基幹システムに取り込むところまでを、WinActorを活用し自動化している。特に、WinActorやinvoiceAgentは、全社のDXを推進する上でも、非常に利用価値の高いツールだと評価が高まり、他部署での活用も進みつつあるという。

■さらなる活用に向けて

1.ペーパーレスソリューションのさらなる活用の可能性

当初の導入契機は、豊田氏が所属する貿易課でのペーパーレス化であったが、実際に稼働していく中で、活用に広がりを見せつつあるという。例えば、貿易課では関税法の規定に基づく関税関連の書類を保管していかなければならない。こうした書類の保管は、一連のソリューションに実装され、活用できるタイムスタンプ機能を有効活用して、より効率的な管理を実現したいと豊田氏はいう。

また、貿易課での実績が評判になり、「営業課では、返品伝票の処理が非常に煩雑になりがちで、手間がかかっていました。そこで、伝票の読み取りからデータの処理までをRPAで自動化できるように進めています」というように、他部署でもペーパーレスソリューションを活用した業務効率化に動き出しているという。

2.貿易課から始まったソリューション活用を、今後は全社へ拡大

丸紅ファッションリンクでは、全社的なDX推進にも積極的に取り組んでおり、今回のペーパーレスソリューションの導入は、DX推進の動きとも親和性が高いと豊田氏は評価する。

「会社全体としても、OCRとRPAのツールを組み合わせた自動化を活用することで、事務作業の効率化を図ろうという動きが加速しています。実際に、いくつか具体的な取り組みが進んでおり、それらについては、MSYSのサポートやアドバイスをいただきながら、業務課題の解決に向けて取り組んでいます。

当初は、DXといっても、具体的にどんなことができるのかがイメージできませんでした。

しかし今では、MSYSがDX推進についての相談会を実施してくれるので、DXや業務の自動化について具体的なイメージができるようになってきています」という。

「ツールの活用に関する講習会なども定期的に開催してもらっています。そのおかげもあって、さまざまな業務において、自動化に向けた弾みがついています。今後は、より具体的に、さらに多くの部署でのペーパーレス化、自動化を進めていきたいと考えています。

何よりも、特定のツール導入の提案ということでなく、多様なツールを効果的に組み合わせて、一連の業務のペーパーレス化、自動化につながったことが大きなメリットだったと実感しています。単発のソリューションでなく、うまくパッケージ化された、トータルのソリューションであったからこそ、活用の可能性も広がっているのだと思います。

現在では、新たな業務をRPAによる自動化する際に、MSYSに依頼してプログラミング対応してもらっています。将来的には、こうしたプログラミングも内製化できるようにスキルを高めていきたいと思っています。こうした部分も含めて、MSYSにはさらなるサポート、支援をいただきたいと思っています」と、豊田氏はMSYSに対して期待を寄せている。

現時点では、特定の部署においての活用が中心になっているが、活用している部署での自動化による業務効率化、生産性の向上という成果が見えてくることで、今後は間違いなく、全社的な活用に進んでいくに違いない。