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Dynamics 365 Customer Service/生成AIとCTIの融合で、コンタクトセンターのパフォーマンスを劇的に改善

顧客接点が多様化していく中にあって、コンタクトセンターなどにおける顧客対応の良し悪しが、企業業績に大きな影響を及ぼす状況が顕著になりつつある。

多くの企業が顧客対応の重要性を認識しながらも、オペレーター人材の不足や、多様化し続ける顧客接点チャネルへの迅速な対応など、コンタクトセンターの抱える課題は山積しており、パフォーマンスを改善することがなかなか難しい局面にある。

そうした状況下で、個々のコンタクトセンターが抱える課題に対して、適切なソリューション提供を可能にする強力な企業タッグが実現した。それが、日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)と丸紅情報システムズ株式会社(以下、MSYS)の企業タッグだ。

両社が連携することで実現するコンタクトセンター向けのソリューションがどのようなものなのか、それによってコンタクトセンターはどのようにパフォーマンスを改善できるのかといった点について、マイクロソフトの業務執行役員 コーポレートソリューション事業本部 ビジネスアプリケーション統括本部長 吉井 映美子氏と、MSYSのエンタープライズソリューション事業本部 副事業本部長 岩井 裕明に話を聞いた。

1. 昨今のコンタクトセンターが抱える課題とは

――今日のコンタクトセンター、カスタマーサポートといった顧客対応窓口では、どのような問題・課題を抱えているとお考えですか。

岩井 今日のコンタクトセンターでは、電話対応は当然のこととして、それ以外のさまざまな顧客接点に対応しなくてはならない状況になっています。メールによる問合せもあれば、LINEをはじめとしたSNSからの流入もあります。顧客接点のチャネルが多様化していますから、当然オペレーターの方々は、電話対応だけでなく、そうした多様なチャネルからの問合せにも対応しなければならないわけです。さまざまなツールを使いこなして、かつ適切な顧客対応を迫られています。業務量が増える一方という過酷な状況が出現しているといっても過言ではないでしょう。

 また、企業が商品やサービスを多様化させ、多商品・多サービスの展開を志向すれば、問合せ対応の内容もより幅広く、難易度が高まることになります。そうしたことも、オペレーターの方々には負担になってくるでしょう。そこに少子高齢化という日本の人口動態的要素が加わることで、コンタクトセンター自体の恒常的な人材不足が発生するなどして、オペレーターの方々の負荷がさらに増えるといった事態になっています。

吉井氏 私どもは製品ベンダーというポジションなので、顧客企業が目指すビジネスゴールを前提に、そこにたどり着くためにコンタクトセンターをどう刷新すべきなのかという視点で、コンタクトセンターの責任者の方などからお話を伺うことが多くあります。
その中で、コール数を減らし、かつ、インシデントあたりの処理時間を短縮することで、コンタクトセンターの生産性を高めたいという要望を多く聞きます。これは、先ほど岩井さんがおっしゃった人手不足だったり、チャネルの多様化などによる業務の煩雑化といった課題がその背景にあるのだと認識しています。さらに、そうした業務改善の先に、顧客満足度を向上させたいというより大きなゴールを目指していることもあります。

2. 課題解決にはどのような対策が必要か

――今挙げていただいたような課題を解決して、目指すゴールにたどり着くためには、どんな対応、対策が必要になるのでしょうか。

岩井 たとえば、コール数を減らすためには、お客様が電話をかける前段階で、疑問や不明点を解消してあげる仕組みを導入するということが考えられます。多くのお客様はコンタクトセンターに問い合わせる前に、ご自身でいろいろと調べることがわかっています。ですので、FAQを充実させるとか、チャットボットのようなツールでお客様の知りたいことに適切な回答を提供するといったことで、コール数の削減につなげることができるでしょう。

吉井氏 1インシデントあたりの処理時間を削減する上では、やはり企業内に蓄積されたナレッジの効率的・効果的な整理と活用が不可欠ですが、それができていないことが多いようです。たとえば、CRMのコンセプトに基づいて、顧客ごとに過去ログなどをきちんと活用できるレベルで整理できていれば、対応時間を短縮することは可能になります。お客様から問合せの電話が入った時に、その方が過去にどんなツールで、どのような問合せをしてきたのかが瞬時にわかれば、短い時間で適切な対応ができ、結果的に顧客満足にもつながります。

岩井 まったくその通りで、先ほども触れたように、お客様は事前にいろいろと調べて、それでもわからずに電話をしてくるわけです。そこでまた、最初からお客様に説明を求めるような対応では顧客満足度は高まりません。活用できるレベルでデータが蓄積・整理されていれば、こうした事態は避けられます。

3. マイクロソフト×MSYSが、コンタクトセンターのパフォーマンス向上にどのようなインパクトをもたらすのか

――前述のようなコンタクトセンターの課題は、マイクロソフトとMSYSが連携してサービス提供することで、解消できるということですね。

吉井氏 今回のコラボレーションは、私どもがご提供しているDynamics 365 Customer ServiceというCRMソリューションと、最新の生成AI機能を活用できるCopilotを、MSYSのもつCTIソリューションと組み合わせることで、そうしたコンタクトセンターの課題を解決し、そのパフォーマンスを大きく改善しようというねらいをもって実現しました。

 Dynamics 365 Customer Serviceは実績も豊富で、コンタクトセンターのパフォーマンス向上に大きく貢献できると自負しています。またCopilotについても、AIとしては高い優位性をもっていると確信しています。ただ、日本企業においては、業務システムなどについて、自社の業務要件にマッチするようにスクラッチすることが一般的だという特性があります。ですからSaaS型のツールであっても、カスタマイズして使用することが多いようです。そうした環境下では、よりコンタクトセンターに近い位置で、個々のコンタクトセンターの個別具体的な課題や困りごとなどをきちんと把握しているMSYSのようなパートナーがフロントに立つことで、より適切に、より最適な形でサービス提供が可能になると考えています。

岩井 MSYSでは、多くのコンタクトセンター等に対して、直接的にサービス提供、ソリューション提案を行ってきたという実績があり、その実績に基づく知見・ノウハウがあります。個々のお客様であるコンタクトセンターごとの業務をしっかりと理解し、その上で、どんなツールをどんな形で活用するのが良いのかを熟考してご提案し、業務の効率化をご支援しています。
そうした実績に加えて、今回マイクロソフトとの連携により、Dynamics 365 Customer ServiceやCopilotを活用できるようになったことで、MSYSがもつ多様なCTIソリューションとの組み合わせで、より最適なソリューション提案が可能になりました。

 MSYSには独自の保守センターがあり、弊社のサービスなどをご利用いただいているお客様に保守サービスを提供しています。実はそこでDynamics 365 Customer ServiceとCopilotをの導入検証を進めています。

 この保守センターにはさまざまな障害に関するアラートや、メールでのお問合せなどが多い時で1日に8千件以上も発生します。これらすべてに人的対応をすることは難しく、Copilotを活用してアラートの内容をトリアージして、必要なものだけをエスカレーションするといった効率化を図り、大きな成果をあげています。こうしてDynamics365 Customer ServiceやCopilotの機能や活用可能性などを把握することで製品についての理解も深まり、お客様に対しても、より適切な提案が可能になっています。

 たとえば、カード会社様のコンタクトセンターを例にしても、カード会社ごとに業務内容や業務フローが異なっていて、その違いを理解した上で、抱えている課題に対する最適なソリューション提案をすることが求められます。MSYSには、多様なCTIソリューションはありますが、それだけでは十分ではなく、マイクロソフトのDynamics 365 Customer ServiceとCopilotがサービスに加わることで、顧客対応力も高まっていくものと確信しています。

4. 今後ますます期待が高まる、マイクロソフト×MSYSのシナジー効果

――今後は、コンタクトセンター等のパフォーマンス向上に向けて、どのような取り組みをしていく予定でしょうか。

吉井氏 日本の場合、まだまだ電話による問合せというものが、欧米に比べると多いような印象があります。そうした中では、たとえば音声関連機能に関しての日本語対応をよりスピード感をもって進めていくことにも取り組んできたいと思っています。ただし、Dynamics 365 Customer ServiceやCopilotなどがどんどん進化して、コンタクトセンター業務の効率化が実現したとしても、それによって問合せをされるお客様に不満を残してしまうようなことがあっては本末転倒です。あくまでも顧客満足度が高まっていくような効率的な仕組みの提案と導入を前提にしていくことが重要だと思っています。そのためには、製品ベンダーであるマイクロソフトが、パートナーであるMSYSをきちんとご支援して、両社のビジネスの拡大につなげていきたいと思っています。

岩井 MSYSとしては、せっかくDynamics 365 Customer ServiceやCopilotのような優れたツールがあるのだから、お客様にはそれを最大限に使いこなしていただきたいと考えています。ですから、そのための支援を、製品ベンダーであるマイクロソフトとの連携によって、高いレベルで実現していきたいと思っています。

マイクロソフトのDynamics 365 Customer ServiceやCopilotは、それ自体が大きな優位性をもったツールであり、またMSYSがもつCTIツールも、コンタクトセンターのさまざまな課題解決に有効性を発揮できるものである。しかし、単にツールの優位性というだけでなく、その進化にコミットするマイクロソフトと、顧客であるコンタクトセンターに最も近いポジションで顧客理解を前提にソリューション提案するMSYSの知見とノウハウが融合することによって生まれるシナジー効果が、コンタクトセンターのパフォーマンス向上を可能にするのだろう。

吉井 映美子
日本マイクロソフト株式会社
コーポレートソリューション事業本部
業務執行役員 ビジネスアプリケーション統括本部長
※所属・職名等は記事公開当時のものです。
岩井 裕明
丸紅情報システムズ株式会社
エンタープライズソリューション事業本部
副事業本部長 営業第二部長
※所属・職名等は記事公開当時のものです。