丸紅グループのIT基盤を構築した技術力で実現する企業セキュリティ対策。 ソリューションとサービスはこちら

RPA を超える未来:業務プロセス全体を自動化する次のステップ

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいる。その背景には、少子高齢化による人手不足の常態化や、グローバル競争の激化に伴う生産性向上の必要性がある。

このような状況の中、企業の規模や業種を問わず注目を集めているのが「業務自動化」だ。業務自動化とは、これまで人の手で行っていた作業の一部をITやデジタル技術を使って自動化し、効率化を図る取り組みである。

業務自動化の歴史を振り返ると、以前はExcelのマクロやVBA(Visual Basic for Applications)が主に使われていた。その後、数年前からRPA(Robotic Process Automation)が話題となり、多くの企業で導入されてきた。そして現在、最新のトレンドとして注目を集めているのが「Hyper Automation(ハイパーオートメーション)」である。この新しい概念に、多くの企業が関心を寄せている。

本稿では、業務自動化の変遷とHyper Automationの概要について解説する。またHyper Automation導入のポイントや、円滑な導入・運用のための支援サービスやツールについて、丸紅ITソリューションズ株式会社(以下、MISOL)の、開発事業本部 副事業本部長 兼 案件コーディネータ室 室長 砂田 未生と、開発事業本部 案件コーディネータ室 引間 彩華に話を聞いた。

本記事に関連する資料ダウンロードはこちら>>

業務自動化の変遷

――ビジネスシーンにおける業務自動化の変遷について教えてください。

砂田 ビジネスシーンにおける業務自動化の歴史は、技術の進化と共に段階的に進んできました。もっとも初期段階の業務自動化では、エクセルのマクロやVBAが主流でした。これらは、特定のアプリケーション内での作業手順の自動化の域を出ないものでした。

そして、次に登場した業務自動化ツールがRPAです。RPAは、基本的には複雑なプログラミング知識を必要とせず、定型業務を自動化するソリューションとして注目されました。たとえば、データ入力や受発注処理など、人間が行う繰り返し作業をソフトウェアロボットが模倣して処理してくれます。ただし、RPAは一担当者が担うような業務のプロセスを自動化するものでした。

そして昨今では、Hyper Automationという概念が注目を集めています。これは業務自動化の第3フェーズと呼べるものです。Hyper Automationは、単一の担当者の業務自動化にとどまらず、複数の担当者や部門を横断する業務プロセス、さらには企業の枠を超えた業務プロセスにも対応できる革新的な自動化の概念です。

RPAの課題

――つまり、Hyper Automationが注目される背景は、RPAでは業務自動化が不十分だったということですか。

砂田 いえ、そうではありません。Hyper Automation登場の背景は、決してRPAのダメな点を解消するためといったネガティブな発想ではなく、業務自動化に有効なさまざまなテクノロジーが出てきたことが大きいですね。たとえば生成AIのようなテクノロジーが実用化されたことで、そうした技術をRPAなどと組み合わせると、従来よりも自動化の範囲が広がったというようなことです。

引間 結果として、RPAが抱えていた課題の一部も、それによって解消できるという側面はあると思います。

たとえば多くのRPAツールは、デスクトップアプリケーションの操作自動化に優れています。しかし、SaaSサービスやWebサービスとの連携には課題がありました。これらのサービスは頻繁に仕様変更が行われるため、RPAに記録した操作手順が使用できなくなることがありました。これはRPAの一つの課題でした。

SaaSサービスとのAPI連携も可能ですが、エンジニアリングリソースが必要となり、実装に時間と労力がかかるという問題もありました。

Hyper Automationの登場により、これらのRPAが抱えていた課題が解消され、より円滑な業務自動化の実現が可能となりました。

次世代業務自動化の「Hyper Automation」とは?

――そもそも、Hyper Automationはどのように定義づけされているのですか。

砂田 すでにお話した通り、Hyper Automationというのは、特定のアプリの操作の自動化や、一担当者の単一業務の自動化を超えて、ある業務プロセス全体を広範囲に自動化するものというように定義づけられています。もともとは米国のITアドバイザリー企業であるガートナー社が提唱しました。

Hyper Automationを有効活用することによって、これまでかかっていた経営資源について、より少ない投入量で、業務オペレーションの質や量を向上させることができます。つまり業務の生産性を向上させることが可能になるということです。

典型的な業務フローを例に挙げてみましょう。新規顧客の獲得時、営業担当は顧客情報をCRMへ登録します。次に、顧客情報を経理部、カスタマーサポート、人事部などの関連部門へ共有し、それぞれの部門で関連するシステムへ顧客情報を登録します。

従来のRPAを使用した場合、営業担当が様々な形式で保存された顧客情報を特定の形式(Excelファイルなど)へコピー&ペーストして集約と成型をするなどの単純タスクの自動化はできますが、それは一担当者の業務範囲内に限られます。

一方、Hyper Automationでは、営業担当者がCRMへ顧客情報を登録すると、その後は人手を介することなく顧客情報が自動的に財務システム、カスタマーサポートシステム、人事システムなどの関連システムに連携されます。これにより、新規顧客獲得時の一連の業務プロセスがシームレスに自動化されるのです。

MISOLのHyper Automation導入支援サービス

――企業がいざ、Hyper Automationを導入したいとなった時に、MISOLとしては、どのような支援サービスが提供可能なのでしょうか。

砂田 Hyper Automationを導入しようとする際には、当社としては大きく3つの支援サービスをご提供することが可能です。

1つめが業務フローの棚卸しと再設計です。まずは現状の業務を必要に応じて見える化し、その上で業務フローの問題点・課題などを整理します。そして、この分析に基づいて具体的な改善点を洗い出します。当社の大きな強みは、高度なITコンサルティング力にあります。この強みを活かし、業務フローの棚卸しと再設計の段階から、システム導入を見据えた改善提案を行うことができます。

つまり、最初からITシステムの可能性を考慮に入れた業務改革を提案できるのです。これにより、「この業務改善にはシステムが必要だった」といった後からの気づきや手戻りを防ぐことができます。

2つめがRPAとiPaaS(Integration Platform as a Service)などの導入支援です。新しいシステムの導入においても、既存のシステムを把握した上で、新しいシステムとして何を導入すべきかを見極めて、柔軟な対応を展開します。また導入のステップも重要です。多様なシステムを一気に導入するのか、ステップを踏むのか、綿密に導入計画を立案することもできます。それにより、業務へのインパクトを最小限にしたスムーズなシステム導入が可能になります。さらに、どんなシステムを導入すべきかという点についても、RPAとiPaaSだけでカバーできない部分があれば、ローコード・ノーコードの導入も視野にご提案することができます。

そして3つめが保守運用のご支援です。システムは、導入できればそれで終わり、というものではありません。使い続ける中で、いろいろと設定の変更が必要になることもあり得ます。特に導入初期の段階では、システム利用についてのトレーニングが必要になることもありますし、システムを円滑に活用するにあたっての問い合わせ対応などのサポートも必要です。当社では、そうした導入後の保守運用についてもしっかりと支援する体制が整っています。

Workatoを活用したHyper Automationの実現

――Hyper Automationの実現に、Workatoが有効だと聞きました。Workatoとは、どのようなツールなのでしょうか。

引間 Workatoは、MISOLが取り扱っている、さまざまなクラウドサービスやオンプレシステムの連携を支援するクラウドサービス、いわゆるiPaaSのツールです。

砂田 RPAのようなものを単一で使うのではなく、さまざまなアプリケーションなどと連携することによって、業務自動化の幅が飛躍的に広がります。そこにHyper Automationのメリットが出るわけです。iPaaSツールの中には連携のためのコネクタが十分でないものもあるのですが、Workatoは1800以上のコネクタがあり、エンジニアでなくても、ドラッグ&ドロップのような簡単な操作でシステム連携を構築することが可能で、この点は大きな優位性といえます。

さまざまなアプリケーション、システムとスムーズに連携し、かつその管理も一元的に行うことができるので、運用にあたっても非常に便利です。

Workatoをハブとして、RPAをはじめとする多種多様なアプリケーションなどとつなぎあわせるハブ&スポーク型の連携が可能な点も、Workatoの大きな特徴のひとつであり、Hyper Automationの導入に有効なツールであると確信しています。

――これからの時代、Hyper Automationの導入・活用は、企業の生産性向上を考える上で重要なコンセプトとなることは間違いない。

次世代の業務自動化ソリューション「Hyper Automation」
お役立ち資料

本記事に関連する資料をダウンロードいただけます。

砂田 未生
丸紅ITソリューションズ株式会社
開発事業本部 副事業本部長 兼 案件コーディネータ室 室長
※所属・職名等は記事公開当時のものです。
引間 彩華
丸紅ITソリューションズ株式会社
開発事業本部 案件コーディネータ室
※所属・職名等は記事公開当時のものです。