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RPAの活用事例15選 業界、部署、業務別に解説

RPAを導入する企業が急増しています。RPAは、業種や企業規模を問わず、さまざまな業務に適用可能で、定型業務を自動化・効率化する点が高く評価されています。

しかし一方で、自社のどの業務にRPAを適用できるのかがわからず、特殊な業務フローのために使えないのではないかと考え、導入をためらう企業も多く見られます。

そこで本稿では、RPAがどのような業務に活用できるのかについて、15の具体的な導入事例を詳しく解説します。

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RPAとは

RPA(Robotic Process Automation)は、ソフトウェアロボットを利用して定型的な業務プロセスを自動化する技術、またはその技術を活用するツールを指します。RPAは、事務作業やデータ入力、集計、情報検索といった単純かつ反復的な業務に適用され、ソフトウェアが人間の作業を模倣して実行します。たとえば、企業で毎日行われるデータ入力や請求書処理、顧客情報の更新などの業務をRPAによって効率化することが可能です。

RPAを活用することのメリットには、作業の正確性向上、作業時間の短縮、そして人件費の削減が含まれます。さらに、単純作業をRPAに任せることで、人間はより創造的で専門性の高い業務に集中できる環境が整い、生産性の向上が期待されます。

また、RPAでできることや自動化できる業務、RPAが苦手とする業務や作業、さらにどこまでRPA化すべきかについて、以下の記事にて具体例を挙げながら解説しています。

RPAの活用事例15選

RPAを導入することで、さまざまな分野における多様な業務を自動化することが可能です。以下に、RPAの具体的な15の活用事例をご紹介します。

1.取引先反社会的勢力排除チェック業務(コンプライアンス部門)

企業が新規取引先を登録する際、コンプライアンス部門は新規取引先が反社会的勢力と無関係であるか事前にチェックする必要があります。このチェック作業は、自社の取引先リストとの突合や、公式情報サービスやダウ・ジョーンズのサイトを利用して情報収集を行い、調査・確認を行います。これに基づき調査簿を作成し、新規取引の申請を行う流れです。

これらの作業は通常手動で行われますが、RPAを導入することで、取引先リストとの突合から情報収集、調査簿の作成までをほぼ完全に自動化できます。最終的に確認作業だけを手動で行うことで、ヌケモレを防ぐことができます。

これにより、手動作業が大幅に削減され、業務効率が大きく向上します。通常、1社あたり1時間ほどかかる作業が、最終チェックで約10分に短縮されます。年間で3,000社のチェックを行っている企業であれば、年間約2,500時間の削減が期待できます。

2.見積明細チェック、商品マスター作成、発注登録(調達部門)

調達部門におけるRPAの導入は、商品や原材料の調達プロセスを大幅に効率化します。取引先への見積依頼、見積内容の確認、商品マスターデータとの照合、そして発注システムへの登録といった一連の作業がRPAによって自動化可能です。

データの照合やシステム登録のほとんどは自動化されますが、発注システムへの登録時に人的チェックを行うことで、発注ミスを防止します。また、マスターデータとの照合でミスマッチが発生した場合、それを担当者に通知するイレギュラー対応が可能で、人的作業を大幅に削減できます。

ある企業ではRPAの導入で年間800時間の業務時間削減を実現しました。

3.日報とりまとめ報告 Boxによる自動化(管理部門)

日々の業務状況を現場スタッフが日報に記録し、管理部門がそれを集約する業務は、多くの企業で共通して発生します。

ある企業では、日報をクラウドストレージ「Box」で共有していました。現場スタッフが作成した日報を管理者が確認し、PDF化してBoxにアップロード、共有リンクを作成し、そのリンクをメールに貼り付けて関係者に送信するというフローをすべて手作業で行っていました。

RPAの導入により、日報の内容確認は手動で行う必要があるものの、Boxへのアップロード、共有リンクの作成・取得、メールの作成と送信までを自動化することができました。

これにより、作業時間の大幅な削減が実現し、手動作業で発生していた共有リンクの貼り間違いやメール送信のミスといったヒューマンエラーを大幅に減少させることができました。

4.年に1度の大量事務処理「児童手当現況確認」(管理部門)

自治体では、特定の期間に大量の申請手続きが発生することがあります。ある自治体では、児童手当の更新手続きが年に1回行われ、その申請期間に多くの手続きが集中していました。

提出された更新届けを1件ずつ検索し、必要に応じて更新内容をシステムに登録するプロセスは、スタッフにとって大きな負担となっていました。

そこで、RPAを導入し、提出された更新届けの登録番号を自動で検索、管理システム内の該当情報を取得し、必要な情報更新を自動化しました。

これにより、以前は約1,600時間かかっていた更新作業を約700時間に大幅削減することができました。

5.帳簿書類台帳記入、Box格納(財務経理部門)

ある企業の財務経理部門では、受け入れ請求書をPDF化し、クラウドストレージのBoxにアップロードしてタグ付けを行い、共有リンクを作成して帳簿台帳に転記する作業を全て手作業で行っていました。

そこでRPAを導入し、業務を自動化しました。紙の請求書もあるため、AI-OCRを活用してPDF化し、必要な情報を抽出して帳簿台帳に転記するプロセスを自動化しました。PDFデータをBoxにアップロードし、適切なタグを付け、共有リンクを発行してそのリンクを帳簿台帳に転記する作業も自動化しました。最終確認のみ手作業で行うことで、ミスを防ぐようにしました。

6.入金データ消込作業(財務経理部門)

経理部門では、売掛金の回収状況を確認するための入金データ消込業務が発生します。この業務は、入金データを確認できるサイトにログインし、入金情報をダウンロードして売掛情報と照合することから始まります。予定通り入金があれば情報を消し込み、未入金の場合は催促作業に移行します。

ある企業では、この業務にRPAを導入し、大幅な作業時間の削減に成功しました。

RPAを活用することで、特定のサイトにログインして入金データをダウンロードし、社内で作成した入金マスターと照合し、経理システムの入金予定データと突合するプロセスが自動化されました。未入金分については差分リストとして出力し、手動で対応するようにしました。

入金消込作業では、振込手数料の負担や消費税の端数処理など、企業ごとに異なる処理があるため自動化は難しいと考えられていました。しかし、入金に関するマスターを準備し、振込手数料や消費税計算を登録することで、問題なく自動化を実現しました。

7.ワークフロー承認結果のポータル掲載・社内通達(総務系部門)

総務系部門では、各部門からのワークフローに対する承認作業を行い、承認後には社内ポータルサイトにアップロードします。その後、承認内容を知らせるために関連部門へメール通達を行います。

ワークフロー承認の件数が多いと、これらの作業をすべて手動で処理するのは大きな負担です。

そこで、ある企業ではRPAを導入し、これらの作業を自動化しました。RPAにより、承認された文書や結果が自動的に社内ポータルにアップロードされ、事前に用意されたリストに基づき、関連部署とメンバーが特定され、自動でメール通知が配信されるようになりました。

8.メール周知・回覧業務(人事・総務部門)

人事・総務部門では、社内通達や回覧業務をメールで行うことが一般的です。社員のメールアドレスはリストで管理され、そこから対象者を選び、資料を送信用フォルダに入れて圧縮し、メールに添付して送信するという流れです。

手作業でこれらのタスクを行うと、作業負荷が大きくなるだけでなく、メールアドレスの間違いや資料の添付忘れといったヒューマンエラーが発生しがちです。

RPAを導入することで、作業を大幅に効率化し、資料の添付忘れやメールアドレスの間違いを防ぐことができます。RPAを活用することで、メール送信までのプロセスを完全に自動化することも可能ですが、ある企業では、送信直前までの作業をRPAで自動化し、最終的なメール送信は担当者が確認して実施するようにしています。この方法により、誤配信のリスクを大幅に減らすことができます。

9.ライン管理・見える化支援業務(生産管理部門)

製造業の生産管理部門では、生産ラインごとの稼働日報が義務付けられており、これを集約して工場全体の生産性データとして活用します。しかし、ラインごとにフォーマットが異なるため、手動での集約・集計は大きな負担となります。

ある工場では、RPAを導入して稼働日報の集約・集計を自動化しました。各ラインの異なるフォーマットから必要な情報を指定して抽出し、共通テーブルに自動転記することで、全ラインの状況を見える化しました。これにより、人的作業をほぼ排除し、工場全体の稼働状況を把握し、生産効率の改善に役立てることが可能になりました。

10.内外向け数値集計&レポーティング業務(マーケティング部門)

マーケティング部門では、広告出稿の効果測定を定期的に実施し、広告の費用対効果を分析しています。あるメーカーでは、外部のデータサービスサイトから「広告出稿量の実績データ」と「販売金額の推移データ」をダウンロードし、エクセルでグラフ化していました。このグラフをパワーポイントに貼り付け、定期報告書を作成していました。

これらの作業をRPAを導入して自動化しました。各データサービスサイトにアクセスして必要なデータをダウンロードし、エクセルでグラフを作成、そしてそのグラフを報告書フォーマットのパワーポイントに自動で貼り付けます。担当者は、報告書に必要なコメントを追加するだけで、迅速にレポート作成を完了できます。

11.営業部門での新規入札案件自動チェック(建設業界)

建設業界の営業部門では、Web上の入札情報をチェックし、発注機関や予定価格、入札受付期間などに合致する案件を探し、提案を行うことが日常的な業務です。

ある建設会社では、営業担当者が手動で案件を探していましたが、業務効率化のためにRPAを導入しました。事前に設定した入札条件に基づき、RPAが指定の入札情報サイトにアクセスし、条件に合う入札情報を選定します。その情報のURLを記録し、営業担当者にメールで通知する仕組みです。

この建設会社では、営業担当者の勤務時間に合わせて案件情報をメール送信する設定をしているため、担当者は出勤後すぐに案件情報を確認でき、営業効率が大幅に向上しました。

12.各センター拠点 勤怠実績登録作業(倉庫業界・物流業界)

物流会社や倉庫会社では、スタッフの勤怠管理にタイムカードを使用することが一般的です。これにより、毎月タイムカードの記録をエクセルに転記し、手動で集計とチェックを行っていました。

ある倉庫業者では、RPAを導入してこの作業を大幅に効率化しました。タイムカードをスキャンしてPDF化し、AI-OCRを使用してデータ化、CSVに変換し、勤務システムに自動登録するプロセスを確立しました。

これにより、人的作業はほぼ排除されましたが、OCRの精度は100%ではないため、データの確認は手動で行い、ミスを防止しています。

13.物件情報のシステム投入業務(不動産業界)

不動産仲介業では、提携先の管理会社から提供される物件情報を整理・確認し、自社のサイトに掲載して入居者を募集します。提供される情報は管理会社によって項目や表記が異なり、これらのばらつきや内容の不備をチェックし、必要に応じて修正してからサイトに掲載します。物件情報はサイトに掲載された時点で募集が開始されるため、迅速な掲載が営業上重要です。

ある不動産仲介業者は、RPAを導入してこれらの作業を自動化し、効率化とサイト掲載までのリードタイム短縮を実現しました。

提携先からの物件情報はメールやFAXで提供され、情報形式によってはAI-OCRを使用してCSVデータに変換します。CSVデータは事前に用意した対照表と照らし合わせて表現を統一し、指定のフォームにアップロードします。最後にデータを手動でチェックし、問題がなければ募集サイトにアップします。

この不動産仲介業では、月に約100件の物件情報が提供され、1件あたり2時間かかっていた登録作業が年間で2,400時間を要していました。RPAによる自動化により、最終チェックにかかる時間が10分に短縮され、年間で約2,200時間の削減が実現しました。

14.病院のレセプト確認補助業務(医療機関)

ほぼすべての医療機関では、レセプトのチェックやそれに基づく診療報酬の計算、国の機関などの保険者への請求業務が毎月発生します。これは、大量のレセプト情報を短時間で正確に処理する必要があり、担当者に大きな負担をかけています。

ある医療機関では、レセプト確認業務にRPAを導入し、大幅な作業時間の削減に成功しました。

この医療機関では、月末に会計システムからレセプト情報を出力し、専用のチェックソフトに取り込んで確認します。以前は、その結果をプリントアウトして目視で確認し、必要な修正は手入力で行っていました。

RPAは、このチェック結果の目視確認と手入力の修正を大幅に改善しました。特定の診療内容と傷病名が1対1で対応するマスターファイルを用意し、チェックソフトのアウトプットとマスターファイルを突合して修正が必要なデータを抽出し、修正候補をリストアップします。この部分をRPAで自動化しています。

最終的には手動でチェックし、修正候補を確定して修正を実施します。すべての工程を自動化するのではなく、自動化可能な部分を自動化した事例ですが、これだけでもこの医療機関では年間約1,000時間の削減を実現しました。

15.ふるさと納税対応業務(自治体)

全国の自治体では、ふるさと納税に関する業務が大きな負担となっています。ふるさと納税は、利用者が各種サイトから申し込み、その情報を自治体がダウンロードして管理します。すべての提携サイトからの情報を処理する必要があり、手動での対応は困難です。

そこで、ある自治体はRPAを導入し、データダウンロードや管理システムへの取り込みを自動化しました。RPAは各サイトに自動アクセスし、必要な情報をダウンロードし、自治体のふるさと納税管理システムにインポートします。また、セキュリティ対策として、ローカルへの自動バックアップも実施しています。

これにより、年間約120時間かかっていた作業をほぼゼロに削減することに成功しました。

導入事例が豊富なRPAソリューション「WinActor」

丸紅情報システムズでは、NTTアドバンステクノロジ株式会社が開発した純日本製RPAツール「WinActor」を取り扱っています。

このツールは、Windows環境でデスクトップアプリケーションやWebアプリケーションの操作を自動化でき、多様な業務の効率化を実現します。WinActorは、その高い汎用性により国内RPA市場でトップクラスのシェアを誇ります。豊富な導入実績と膨大なナレッジベースにより、使用時の疑問点も迅速に解決できるのが大きな利点です。

また、丸紅情報システムズでは、独自のサポートサービスを提供しています。特に、オリジナルのeラーニングを通じて多くの方にWinActorを使いこなしていただけるようサポートし、勉強会や関連セミナーのアーカイブも利用可能です。さらに、スタートアップの技術支援やWinActorに精通した専任技術者による回数無制限のQAサポートも行い、円滑な導入と継続的な活用をサポートしています。

WinActor お役立ち資料

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