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遠隔監視とは? 活用例やメリット、導入の注意点を解説

近年、無線通信ネットワークが発達し、カメラや各種センサーなどのデジタル機器が小型化・高性能化したことで、遠隔監視システムは比較的簡単に導入できるようになりました。これまで人の手で行っていた検針、工場設備の稼働状況確認、河川の定点水位監視などを自動化し、人の手を介さなくすることで、コスト削減と業務効率の向上を実現できます。

本稿では、遠隔監視のメリットや実際の活用事例を紹介するとともに、実際に遠隔監視システムを導入する際の注意点について解説します。

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遠隔監視とは

遠隔監視とは、監視対象物が設置・存在する場所に直接出向くことなく、遠隔地から監視対象物を監視することを指します。

防犯のための侵入監視が一般的ですが、工場や施設の設備稼働状況の監視、各種メーターの日常点検、予知保全、自動車からの混雑情報、災害対策のための河川水位や波高などの目的で遠隔監視が求められています。そのため、カメラやセンサーで各種情報を取得し、ネットワーク通信を経由して遠隔地にあるパソコンやスマートフォン、タブレット端末などのデジタル機器で監視します。

遠隔監視のメリット

遠隔監視による主なメリットは以下の4つです。

1.メーターなどの計測設備が設置されている場所への移動工数削減

多くの工場や施設では、設備の稼働状況を監視する目的で、敷地内にさまざまなメーターが設置されています。このようなメーターの検針は、メーターが設置されている場所に人が行き、目視で検針し、検針値を記録します。同じ敷地内であっても、敷地が広ければ、検針、点検簿記入、帰社後エクセルへの転記に半日から丸一日かかることもあり、場合によっては、一定の人件費負担を強いられることもあります。また、転記ミスのリスクもあります。遠隔監視を導入することで、たとえば、検針が必要なメーターの前にカメラを設置し、ネットワーク通信を介して管理事務所で確認することで、担当者がメーターまで出向く必要がなくなり、工数や人件費を削減することができます。以下の記事にて点検業務の効率化について解説しています。

2.リアルタイムでの状態把握

監視対象が遠隔地にある場合、「今すぐ状況を確認したい」と思っても、移動時間がかかるため、今すぐ確認することは現実的に不可能です。しかし、遠隔監視であれば、管理事務所にいながらにして、遠隔地の様子をリアルタイムで確認することができます。

3.複数設備の一元管理

たとえば、ある都道府県の担当者が、担当地域の河川の水位を監視したい場合や、全国に事業所があり、各事業所の稼働状況を本社で一元的に監視したい場合など、遠隔監視システムを導入することで、必要な情報を一箇所に集約し、一元管理することが可能になります。

4.しきい値設定によるアラート発報

遠隔監視システムの中には、カメラやセンサーによる検知で対象物を監視するだけでなく、あらかじめ設定したしきい値を超えたり下回ったりした場合に、システム的にアラートを出したり、通知メールを送信したりできるものもあります。

たとえば、設備のメーター監視システムでは、メーターの数値が一定の値を超えた場合、担当者のスマートフォンにアラートを出すといったことが、遠隔監視システムで実現できるようになります。

遠隔監視システムを導入する際のポイント

遠隔監視システムを導入する際のポイントを3つご紹介します。

1.運用に適したデバイスの選定

監視する場所や対象によって、最適な監視デバイスを選択することが重要です。カメラやセンサーなどの監視デバイスが設置される環境によって、デバイスの種類は変わってきます。たとえば、屋外での監視が必要な場合は防水仕様である必要がありますし、屋内であっても埃の多い施設であれば防塵仕様でないとすぐに故障してしまう可能性があります。また、電源工事やネットワーク工事が必要かどうか、導入に際して設備を停止する必要があるかどうかも考慮する必要があります。

また、遠隔監視システムを導入・運用する際のコストパフォーマンスも考慮する必要があります。導入コストがリーズナブルで、ランニングコストも安ければ、導入効果は大きくなります。しかし、そのコストが対応する人件費よりも高ければ、導入のメリットは小さくなります。場合によっては、コストメリットがないという事態にもなりかねません。

2.本導入前の検証実施

適切な遠隔監視システムが設計され、コスト面でも問題ないとなれば、本格的な導入に先立ち検証を実施します。設計段階では全く問題なかったシステムが、いざ本番環境で運用されると不具合が多発して実用に耐えないという可能性も否定できません。

取得したいデータが適切に取得できるか、アラートのトリガーとなるしきい値を設定する仕組みを導入している場合は、その設定に従ってアラートが適切にトリガーされるかを確認する必要があります。

導入予定の遠隔監視システムの種類にもよりますが、検証期間は数週間から数ヶ月かかります。また、天候や環境が本番にできるだけ近い状態で検証することが理想的で、その場合はさらに数ヶ月かかることもあります。

3.セキュリティ

近年、セキュリティ面のチェックは重要です。遠隔監視システムを導入する際には、まず使用するデバイスやシステムが自社のセキュリティポリシーに合致していることを確認する必要があります。

自社のセキュリティポリシーに合致し、コストやその他の条件が同じ候補が複数ある場合は、その中からセキュリティがより強固なシステムを選択します。

また、導入後のサポート体制が手厚いかどうかも確認しておきましょう。

遠隔監視の活用事例

遠隔監視の活用事例を4つご紹介します。

1.設備の状態監視

ある製造業のプラントは敷地がかなり広く、敷地内の複数の設備の稼働状況を監視するために、移動に多くの工数を費やしていました。なんとか移動工数を減らして、監視作業を効率化したいと考えていました。

各設備に設置されたメーターを読み取ることが課題だったため、各メーターを自動で読み取るためのカメラを設置しました。

本格導入に先立ち、丸紅情報システムズが選定した無線カメラを用いて約1ヶ月間の検証を実施しました。その結果、費用対効果が高く、移動工数やコストを大幅に削減できると判断し、本格導入を決定しました。

2.産業廃棄物コンテナの残量監視

ある産業廃棄物処理会社では、複数の建設現場に産業廃棄物回収用のコンテナを設置し、コンテナに産業廃棄物が充填された時点で回収していました。これまでは、コンテナを設置した現場に電話をかけて積載状況を確認する工数がかかっていたため、コンテナを遠隔監視して適切な回収タイミングを把握したいと考えていました。

そこで丸紅情報システムズでは、各コンテナを遠隔監視するカメラをコンテナに取り付けて建設現場に設置し、産業廃棄物処理会社がオフィスのパソコンから画像を確認することで、最適な回収タイミングを遠隔で確認できる仕組みを構築しました。

まず、検証用の機器を使った実証実験を実施しました。その結果、モニターで確認するだけで最適な回収タイミングを判断できるようになり、これまで行っていた現場への電話確認が不要になりました。また、どの現場のコンテナをどのタイミングで回収すべきか明確かつ一元的に管理できるようになったため、効率的な配車計画が可能となり、業務効率が大幅に改善しました。

3.河川水位監視

近年、ゲリラ豪雨や台風による河川の氾濫が日本各地で問題になっています。この事態を憂慮したある自治体では、管理する河川が危険水位に達した場合、地域住民に避難勧告を出せるシステムの導入を検討していました。

そこで丸紅情報システムズは、河川に設置された水位計を対岸から無線カメラで撮影し、数値を自動で読み取るシステムを開発し、実証実験を行いました。

4.駐車場の満車/空車検知

駐車場の空き状況(空車・満車)を検知する事例です。商業施設などの駐車場を広範囲に撮影するため、複数箇所に設置した監視カメラの映像をもとに、AIで駐車台数をカウントするシステムを開発しました。このシステムにより、駐車場や施設の管理会社は、センサーの設置などの大規模な工事をすることなく、駐車場の混雑状況を把握できるようになりました。この情報は駐車場の入り口付近にリアルタイムで掲示され、利用者に駐車場の空き状況や満車状況を知らせることに活用されています。

遠隔監視をカメラ1つで実現「LiLz Gauge」

丸紅情報システムズが提供する「LiLz Gauge」は、専用カメラによる遠隔監視システムをシンプルかつ低価格で実現します。

たとえば、工場や施設で監視が必要なメーターなどの前に専用の無線カメラを設置し、定期的に自動で読み取りすることができます。

カメラで撮影したメーターの画像をLiLz Gaugeの専用クラウドにアップロードし、機械学習によって数値を読み取ります。AIへの面倒な事前学習は必要なく、セットアップも簡単です。ユーザーはいつでも専用サイトにアクセスし、過去データを含むメーター画像や数値を閲覧したり、csv形式で出力したりできます。

Lilz Gauge 本体とダッシュボード

丸紅情報システムズでは、このLiLz Gaugeをはじめ、メーターの自動読み取りに限らず、さまざまな遠隔監視システムの導入を支援しています。

幅広い環境で使用可能

リチウム電池を採用しており、1日3回の撮影であれば、1回の充電で2~3年の連続使用が可能です。(設置環境や撮影条件により異なります)。また、防塵・防水仕様で屋外での使用も可能です。

しきい値を設定して通知

しきい値を設定し、読み取り結果がしきい値を超えた(下回った)場合に、あらかじめ設定した連絡先に通知メールを自動送信する機能も標準装備しています。

カメラ1台で複数のメーターを読み取る

自動検針の遠隔監視は、さまざまなタイプのメーターに対応し、1台のカメラの画角内に複数のメーターがある場合でも、個々のメーターの値を適切に読み取ることが可能です。また、カメラの撮影頻度も幅広く設定できるため、監視対象に応じて自由に設定できます。

Lilz Gauge お役立ち資料

Lilz Gaugeのカタログ、紹介資料をダウンロードいただけます。

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