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IoTで位置情報を把握する方法とは? 活用シーンとメリットを解説

IoTの進歩により、シンプルなデバイスで精度の高い位置情報を取得できるようになりました。屋外ではGPS測位と基地局測位、屋内ではWi-Fi測位とビーコンテクノロジーを活用した測位が可能です。こうしたIoTを活用した位置情報によって、さまざまなビジネスシーンで業務効率化やコスト削減が実現されています。

本稿では、IoTを活用した位置情報の把握方法とその活用シーンや、位置情報の把握によるメリットについて事例を交えて解説します。

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位置情報を取得できるIoTデバイス

そもそもIoTとは何か、IoTデバイスの種類と位置情報を把握する方法を解説します。

IoTとは?

IoTとは「Internet of Things」の略称です。日本語では「モノのインターネット」と呼ばれます。現在、家電製品をはじめ、さまざまなモノがネットワークを介してつながり、情報をやりとりできるようになっています。

エアコンやロボット掃除機、外出先からスマートフォンで操作できるスマートスピーカーなどもIoTで情報をやりとりしています。さらに、路線バスの運行状況や、宅配便の荷物が今どこにあるのかも確認できます。

IoTには大きく分けて2つの活用シーンがあります。ひとつは、家の外からエアコンやロボット掃除機を操作するような遠隔操作。もうひとつは、路線バスや宅配便の荷物がどこまでに来ているかといった、位置情報を活用した動きの検知です。IoTの活用シーンは以下の記事でも詳しく解説しています。

IoTデバイスの種類と位置情報を把握する方法

IoTで位置情報を把握するための技術は、大きく分けて4つあります。

1.GPSによる位置測位

GPS測位とは、地球を周回する衛星(GPS衛星)からの信号をデバイスが受信し、デバイスの位置を特定します。複数の衛星から送信される信号を受信し、各信号の送信時間と受信時間の差から、デバイスとGPS衛星との距離を計算します。これをもとに、三角測量法を用いてデバイスの位置を算出します。

2.通信事業者の基地局による位置測位

基地局測位とは、携帯電話機が複数の基地局と通信し、三角測量法を用いて位置を算出する測位方法です。

3.Wi-Fiによる位置測位

前述の2つの測位方式が比較的広いエリアをカバーするのに対し、Wi-Fiによる位置測位はWi-Fiのアクセスポイントを利用する測位方式で、主に病院や学校など比較的狭い屋内を対象とします。

4.ビーコン(Beacon)テクノロジーによる位置測位

ビーコンテクノロジーとは、ビーコンを利用した測位方法です。ビーコンとは、特定の場所や物体に設置された機器とデバイスの間で無線通信によって位置情報などをやりとりする装置やシステムのことです。屋内でよく利用される測位方法です。

位置測位にビーコンと呼ばれるデバイスを利用する方法はいくつかあります。Bluetoothを利用するものもあれば、GPSを利用するもの、NFC(近距離無線通信)やRFID(無線周波数識別)タグを利用するものもあります。Bluetoothビーコンを利用した屋内位置測位は利用シーンが増えています。

 IoTデバイスの位置情報でできること

GPS測位と基地局測位は、屋外の比較的広い範囲を測位したり、地図上に現在位置をプロットすることに利用されます。GPSの測位誤差は一般的に10メートル程度といわれていますが、日本版の衛星利用測位システム(GPS)である準天頂衛星初号機「みちびき」の測位誤差は1メートル程度とさらに高精度です。

病院や学校、工場、オフィスなど、比較的狭い屋内の位置情報を取得するためにWi-Fi測位やビーコンテクノロジーが活用されています。人やモノがどこにいて、どのように動いているのか、これまで得られなかった屋内の位置情報を可視化することができます。

物品・備品の所在地をシステム上で確認できる

物流倉庫や製造工場などの比較的大きな倉庫や工場では、物品や備品の所在を確認するのに多大な労力と時間を要することが多々あります。そのような倉庫や工場では、ビーコンを物品や備品に取り付けることで、所在をシステム上で確認することができ、探す手間を省くことができます。

工場・倉庫の作業員の動線を把握できる

複数の生産ラインで使用する資材の運搬は重要ですが、作業員の動きをリアルタイムで把握することは難しい課題です。物流倉庫では、梱包作業員もピッキングエリアと出荷エリアを行ったり来たりするため、作業効率の低さが課題となっています。

そこで導入されたのが、ビーコンテクノロジーを活用した位置情報の可視化です。作業員に配布されたデバイスからの信号をシステムが受信し、現在位置を可視化します。部品が搬入されると、作業員はデバイスの「完了」ボタンを押すことで、リアルタイムで作業完了を確認し、次の作業の指示を出すことができます。これにより動線が改善され、業務効率が向上しました。

モノや車の現在地をマップ上で確認できる

運送会社などは、自社のトラックの位置を把握することで、配車効率を向上させることができます。GPS測位により、トラックの運行状況などをトラッキングし、そのデータをもとに、配車効率などを改善できます。

最近では、ネットスーパーなどの宅配サービスも増えてきており、注文した荷物の位置を知らせてくれるサービスが人気です。IoTで位置情報を取得することで、こうしたサービスも可能になります。

屋内の位置情報の活用例

屋内における位置情報の代表的な活用例を以下にて紹介します。

病院や工場などの施設の備品の位置把握

ベッドサイドのモニター、輸液ポンプ、人工呼吸器など、病院設備の中には、必要に応じて病室間を移動して利用するものもあります。頻繁に移動するため、それらがどこにあるのか把握することが難しくなることがあります。このような医療機器などにビーコンを取り付けることで、機器がどこにあるのかをシステム上で適切に把握できます。

また、ある工場では、工場内のリース運搬機器にデバイスを取り付け、機器の動向や稼働状況を調査しました。この調査により、運搬機械の稼働率を視覚的に把握し、台数を最適化することで、リース料のコスト削減を実現しました。

フリーアドレスオフィスにおける従業員の所在把握

在宅リモートワークなどのワークスタイルが一般的になるにつれ、オフィスをフリーアドレス化する企業が増えています。その結果、社員が出勤しても、オフィスのどこにいるのかわからないというケースが発生しています。そこで、ビーコンテクノロジーを使って社員の位置情報を取得する企業が増えています。

フリーアドレス化の目的のひとつとして、社員の交流を促進する企業が増えています。従来は部署ごとに座席が決まっていました。フリーアドレスにすることで、他部署との交流を促進したいということです。そのためには、社員の位置情報のデータ化が欠かせません。

また、オフィス内の社員の動きをトラッキングすることで、会議室や休憩室などの各種スペースの利用状況を確認し、会議室が不足しているのか、過剰なのかを把握し、オフィスレイアウトの改善に役立てることも可能です。

工場作業員の動線分析による作業効率化

工場における作業員の動線の分析は、生産性に直結する重要な課題といえます。ある工場では、作業動線が悪いために作業員の仕事の流れが非効率であり、何とか改善したいという要望が現場から挙がってきました。そこで、現状の作業員の位置情報を把握して分析することにしました。

分析結果に基づき、明らかに非効率な作業動線は改善し、疑問のある作業動線についてはテスト的に動線変更を行い、作業時間や作業効率の改善効果を測定し、より効率的な動線設計を実現しました。

屋外の位置情報の活用例

屋外における位置情報の代表的な活用例を以下にて紹介します。

コンテナの現在地をグローバルに追跡

物流面では、IoTの位置情報を活用することで、モノの動きそのものを適切に把握することができ、GPS端末を活用することで、日本国内だけでなく、グローバルにモノの位置を把握することができます。各コンテナにGPS端末を取り付けることで、安全・確実に貨物を届けることができます。

土砂災害などの災害対策

近年、日本でも自然災害による被害が増加する傾向にあります。自治体などでは、土砂災害などの危険性が高い地域をリアルタイムで監視するために、センサーやカメラを設置するケースが増えています。災害の予兆をいち早く察知することで、被害を最小限に食い止めることができます。

児童の見守りや置き去り防止対策

児童の見守りや、スクールバスでの児童の置き去りが社会問題化しています。IoTの位置情報を活用することで、このような問題に対処することができます。GPS測位を利用して、デバイスを持った児童の位置をリアルタイムに把握し、その情報を保護者に送信することで、児童の安全・安心を確保することができます。

IoTで位置情報を把握するメリット

IoTで位置情報を把握することにはさまざまなメリットがありますが、ここでは代表的なメリットを3つ取り上げます。

コスト削減と効率化

工場や病院などでは、位置情報によって物品の所在を把握したり、スタッフの動線を把握することで、物品を探す時間を大幅に削減したり、スタッフの業務効率を大幅に改善することができます。また、設備の稼働状況などを把握することで、リース料などの経費を削減できるといったメリットがあります。

安心と安全

児童や高齢者の見守りに位置情報を活用することで、より安心・安全な環境を作ることができるというメリットがあります。

また、災害の危険性がある場所の監視は、人が現場に行けば二次災害の危険性があります。IoTカメラなどを用いることで、安全に遠隔監視ができます。

リアルタイムのデータ収集と分析

リアルタイムにデータを収集・分析することで、病院や工場の作業動線を分析して業務効率を向上させたり、備品の使用状況を把握・分析して機器の効率的な利用を促進したりできるのも大きなメリットです。

これまで、物流に関わるトラックの運行状況や貨物のリアルタイムデータなど、屋外における位置情報の収集・活用は比較的行われていました。しかし、工場や学校、病院、オフィスなどの屋内の位置情報はあまり活用されていませんでした。今後は、こうしたデータを有効活用することで、より戦略的な意思決定が可能となり、業務効率の向上が期待されます。

IoTによる位置情報の把握を支援「丸紅情報システムズのAI・IoTソリューション」

IoTの位置情報を活用するシーンは多岐にわたります。しかし、どのようなシーンで位置情報を把握して活用したいかによって、必要なシステムやツールは大きく変わってきます。そのため、効果を最大限に上げるポイントは、位置情報ソリューションに関する幅広い技術、知識、経験を持つパートナーを選ぶことです。

丸紅情報システムズは、商社の強みを活かし、AI・IoTソリューションを幅広く提供しています。さまざまなデータを一元管理・活用できる多機能IoTプラットフォーム「MAIDOA plus」をはじめ、ビーコン製品「Blue Beacon」、位置測位ソリューション「iField」。また、定点観測などに有効なIoTカメラ「Lilz Gauge」など、豊富なソリューション・製品があります。お客様の課題を確認し、コストに配慮しながら最適なソリューションをご提案します。

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