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株式会社アイネット様

最新技術へのチャレンジ、新たな価値でチャンスを広げる。―新クラウドサービス誕生の舞台裏―

企業が大きく成長するためにイノベーションは欠かせない。新しいサービスやビジネスモデルは、どのようにして生まれてくるのだろうか?1970年代、中小企業が多いガソリンスタンドのシステム化に革新的なサービスを提供し、新たな市場を拓いたアイネット。

「情報技術で新しいしくみを創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する。」という企業理念は、現在、同社の新しい事業の柱となったクラウドサービスにも活かされている。同社は、他社にはないクラウドサービスを提供するべく、どこよりも早く最新技術を取り入れることに力を注いでいる。ドローンにもいち早く着目し、広大なドローン飛行場で様々な企業と実証実験を行っている。今後、ドローン等のデータ活用基盤がますます求められる中、先進のストレージ仮想化技術を利用した新しいクラウドサービス誕生の舞台裏を追った。

クラウドの名前が世に広まる遥か以前に同様のサービスを提供

世の中にまだ存在しないサービスや製品を創造し、新たな市場を開拓していく。企業が大きく成長するためにイノベーションは欠かせない。しかし、可能性という種を見つけ、大きく育て開花させることができるのは、ほんの一部だ。

1971年創業、独立系IT企業のアイネットは、45年以上の歴史の中で常に新しいビジネスモデルにチャレンジし、顧客に新たな価値を提供してきた。「当社の創業者であり、現会長の池田典義は、クラウドサービスという名前が世に広まる遥か以前、創業当時からガソリンスタンド向けにクラウドサービスを提供していたと今でもよく話します」とアイネットクラウドサービス事業部 プロダクトマーケティング部 兼 クラウドシステム部 部長 高橋信久氏は笑顔で話す。

クラウドサービス事業部
プロダクトマーケティング部 兼 クラウドシステム部 部長 高橋 信久 氏

1971年当時、日本においてモータリゼーションが急速に発展していく中で、ガソリンスタンドの会計処理業務のシステム化が大きな課題となっていた。しかし、中小企業の多いガソリンスタンドはコンピュータを導入・運用する資金的余裕がなかった。

そこで、アイネットは、様々な会社の会計処理を1つの仕組みで提供するサービスを開始した。「システムを導入し運用する必要はなく、サービスとして利用するというビジネスモデルです。まさにクラウドサービスですね。現在、日本各地にあるガソリンスタンドの50%以上が何かしらの処理で当社のサービスを利用しています。クレジットカード決済処理に関わる機能もあるため、24時間365日システムが止まることは許されません」

1998年、同社はICT資源の有効活用や運用の効率化を図るべく、自社データセンターを稼働させた。データセンターを持つことで同社のビジネスの幅も広がっていく。「お客様の大切なデータを安全にお預かりするデータセンタービジネスはもとより、各種帳票や請求書の印刷から発送までをお客様の代わりに行うプリンティングサービスも展開しています。また、今ではガソリンスタンド・石油業界だけでなく、様々な業種業態のお客様のシステムの開発・運用・保守を行っています」

第二データセンター

ICTをサービスとして提供するビジネスモデルを展開してきた同社は、クラウドの黎明期にいち早くその可能性に気づいた。2009年6月、国内最高クラスの安全性とファシリティを備えたクラウドデータセンターを本稼働させ、2010年からクラウドビジネスを開始。同社のクラウドサービス導入企業は2018年に1,400社を超えた。様々なクラウドサービスが乱立する中、同社が企業から選ばれるのには理由があった。

最新技術にどこよりも早く取り組み、新たな価値を提供

総務省が2018年5月、国内の情報通信サービスの利用状況等について調査した「平成29年 通信利用動向調査」の結果によると、クラウドサービスを利用している企業の割合が5割を超えたとしている。クラウドサービスの普及が進む中、同社は価格競争で勝負することなく市場で優位性を確保するため、戦略的に2つのポイントを重視しているという。

1つめは、社会インフラを支えるガソリンスタンド向けサービスで培った運用力だ。同社のクラウドサービスNextGeneration EASY Cloud(以下、EASYCloud)は、パブリッククラウドではできない個社ごとのセキュリティ要件や運用・監視等に対応しながらも、コスト削減を実現するマネージドクラウドだ。運用面を高く評価し、他社クラウドサービスから移行してくる企業もあるという。

2つめは、アーリーアダプター※として、世の中に登場したばかりの技術に対し、どこよりも早く取り組み、運用ノウハウを身に着けて新しい価値を提供していくことだ。「例えば、EASY Cloudは国内初のVMware SDDC(Software DefinedDatacenter、ソフトウェア定義データセンター)アーキテクチャを全面採用し、優れた拡張性と柔軟性を備えています。具体的には、ソフトウェアによってサーバ、ネットワーク、ストレージを仮想化し、データセンターの運用効率化やリソースの有効活用を図っています。新しい技術を開発しても、それを安定して運用していくことは難しい。

VMware社は当社の運用技術を高く評価し、一緒に運用の実用化に向けて技術的課題を解決しました」同社はドローンにもいち早く着目し、ドローンを活用したビジネス展開を支援するデータ処理基盤「Dream Drone」サービスを提供している。「例えば、工事現場の空撮映像を3次元映像化して工事の進捗管理に役立てることができます。農業もドローンへの期待が大きい分野です。空撮映像を活用すれば、農作物の育成状況がわかります。東京ドーム3個分の敷地にドローン飛行場をつくり、各分野の企業と協力して実証実験を進めています」ドローンをはじめ大量かつ高解像度のデータを高速で処理するために、GPU(Graphics Processing Unit)コンピューティングの世界的メーカーであるNVIDIA社が展開するパートナープログラムを国内企業として初めて締結し、高いパフォーマンスを発揮する「vGPU-VDIクラウドサービス」を提供。先進的サービスを市場に送り出す同社が、なかなか実現できなかったのが、企業が日常的に利用するストレージサービスだった。

※革新的商品やサービスを早い段階で採用し、他の消費者へ大きな影響をもたらす利用者層

アーリーアダプターにとって一緒に課題解決に取り組むパートナー選択は重要

「お客様がデータ共有やバックアップ用に普段から使い慣れているストレージを、クラウドサービスとして提供するためには高額かつ大容量のハードウェアを購入しなければならず、コストの面で実現できていませんでした。お客様からご要望があった場合には個別に対応していました」と高橋氏は話す。

課題解決に向け、同社が注目したのが、業界をリードするストレージ専用OSのNetApp ONTAPをベースにSDS(Software-Defined Storage)を実現するONTAP Selectだった。SDSとは、分散しているストレージをソフトウェアで管理し、全体を1つの大きなストレージとして定義し使用効率を高めていくというアプローチだ。
「ONTAP Selectを利用することで、既存の大容量ストレージの領域を使って、新たなストレージサービスの提供が可能となります。IT投資を最小限に抑えながらお客様のご要望を満たすことができる。当社にとって理想的な解決策でした」

SDSを実現する競合製品とも比較したという。ONTAP Selectの採用理由について、高橋氏はこう説明する。「お客様の基幹業務で利用されるサービスとなるため、長年にわたるNetAppの実績と、実績に基づく安定性を重視しました。お客様に説明する際も、NetAppというブランドが持つ安心感や認知度はサービスの価値を高めます。またストレージ専用OSであることから、汎用OSのような攻撃に晒されにくく、高いセキュリティレベルを実現できる点も採用理由の1つです」

2017年7月、ONTAP Selectの採用を決定した当時、日本においてはまだ導入実績がほとんどなかったと高橋氏は振り返る。「優れたコストパフォーマンスでONTAPの高い信頼性、ハイパフォーマンス、高度な機能をクラウドサービスとして、どこよりも早く提供することに大きな意義がありました。アーリーアダプターにとって、技術力のあるパートナーを選ぶことはなによりも大事です。丸紅情報システムズを選択したのは、NetAppに関する優れた知見と高い技術力に加え、提案力も含めてコミュニケーション能力を高く評価したからです。様々な困難があっても一緒にやりきることができる。実際にその通りでした」

新しいことにチャレンジした者だけが得られる経験とノウハウ

ONTAP Selectによる新ストレージサービスのシステムは、約1カ月で構築を完了。2018年2月に先行導入を開始し、現在、本格的なサービス提供に向けた取り組みを進めている。新ストレージサービスのビジネス効果について高橋氏は「お客様との接点が広がるとともに、提案内容をより充実させることができます。
Dream Drone やvGPU-VDIクラウドサービスに新ストレージサービスを組み込み、利便性を高めていきます。また無停止運用を実現するONTAP Selectは、拡張やメンテナンス時もサービスの停止時間を最小化することが可能です」と話す。

今後、サービスの付加価値を高めるべくONTAP Selectを利用した災害対策ソリューションも提供していく予定だ。「これまで災害対策のためのデータ保全では、遠隔地に本番で使用しているのと同規模のストレージが必要でした。NetAppのストレージを導入している企業は当社の新ストレージサービスを利用することでもう1台購入する必要がなくなり、短期間かつ月額の低料金で災害対策を実現できます」

丸紅情報システムズには、ビジネスパートナーとしても大きな期待を寄せていると高橋氏は話す。「丸紅情報システムズが世界から見出した革新的なITを、当社のクラウド基盤を使ってサービス化することによりビジネスの可能性が大きく広がります」

「情報技術で新しいしくみを創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する。」という企業理念を具現化していくアイネット。チャレンジに伴う困難を乗り超えるモチベーションについて高橋氏はこう話す。「アーリーアダプターはこれまで誰も経験したことのないバグ(プログラムに含まれるプログラムミス)を世界で初めて踏むことになります。解決策を自分たちで導き出さなければならず険しい道のりです。しかし、新しい道をつくっていく者だけが得られる経験とノウハウは得難いものです。付加価値を創造しチャンスを作る。革新的技術の実用化や市場の開拓に貢献するやりがいはとても大きいです」

ONTAP Selectサービスのスタック図

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