名実ともに日本を代表するベンチャーキャピタルのジャフコ。業界の活性化に伴う激しい競争を勝ち抜くために、働き方の高度化による生産性向上を図るべく、モバイルVPNソリューション「NetMotion Mobility」を導入した。社内基幹システムにアクセスするため強固なセキュリティを担保した上で、ユーザが意識することなくWi-Fi、LTE※1などをシームレスに利用し、ストレスフリーのモバイル常時接続を実現。2017年3月に導入した完全フレックス制と合わせ2018年10月、事務職を含む全社員を対象にモバイルワークの全社展開がスタートした。メーカーと一体となった丸紅情報システムズのサポートのもと安定した運用を実現。働き方改革を一気に加速させ、競争力の強化、働き方の多様化を進めている。
- ストレスフリーのモバイル常時接続を実現したい
- 金融グレードの強固なセキュテリィを担保したい
- モバイル環境で安定した運用を実現したい
全社員の働き方を高度化し生産性を最大化する
1973年創業、現存する中では国内で最も歴史があり、かつ最大手のベンチャーキャピタル、ジャフコ。革新的な起業家のチャレンジを支えてきた同社の歩みは、日本におけるベンチャーキャピタルの歴史そのものだ。現在、国内はもとより米国・パロアルト、シンガポール、中国などに拠点を置き、未上場企業への投資活動をグローバルで展開。累計投資社数約3,950社・累計投資先上場社数1,000社、投資事業組合(ファンド)数累計100組合以上・出資金総額約9,800億円(2018年3月末現在)など、これまでの実績が業界における同社の高い信頼を物語っている。
近年、金融緩和で設立が相次ぐ官制ファンド※2やCVC※3などによりベンチャーキャピタル業界は活況を呈する一方、競争は激しさを増している。
2017年、競争に打ち勝つためにジャフコは単なる投資家としてではなく「CO-FOUNDER≒共同創業者」として、「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」という新たなミッションを掲げた。ミッション実現に向け、厳選集中投資を行い、事業構想段階から経営に深く関与し、投資先の企業価値を高める取り組みを進めている。この大きな方針転換の鍵を握るのが、個人を主体としたパートナーシップモデルの導入だ。
同社 CIO(最高情報責任者)の 松尾成智氏はその狙いについて「従来、投資から回収までの各フェーズで部署を分けていました。CO-FOUNDERとして起業家とともに挑戦するために、創業以来培ってきた組織力をベースとしながらも、複数名のパートナーが担当ファンドの運用責任を担い、投資対象毎に最適なチームを編成できる体制を確立している。」と語り、こう付け加えた。「起業家との関係がより密接になるため、あらゆる局面で相談があがってきます。それらに対してタイムリーかつ的確なアドバイスが求められるため、いつでもどこでも仕事ができるモバイルワーク環境の整備が急務でした。またミッション実現のためには、投資部門はもとより全社員の働き方を高度化し生産性を最大化することが必要となります」
※2 官制ファンド: 政府と民間が共同出資する政府系ファンド。
※3 Corporate Venture Capitalの略。事業会社がベンチャー企業とのシナジー効果を求めて投資を行うために設立したベンチャーキャピタル
ストレスフリーで利用できるモバイル環境が理想形
従来、同社では社員は朝オフィスへ出社した後、昼頃に多くの社員が外出し夕方に帰社するといったシーンが日常だった。「外出先で起業家との打ち合わせや会食をこなし、会社に戻ってきて報告書などの業務を行うのはとても非効率でした。こうした状況を打開するために2016年末、働き方改革プロジェクトがスタートしました」と松尾氏は振り返る。
同社において最も重要な経営資源は「人と情報」と松尾氏は強調する。人と情報を活かし、生産性の高い働き方を実現するためにはモバイル環境の実現が欠かせない。問題はセキュリティの担保と利便性の両立をどう図るか。「他社VPN※4サービスを導入したのですが、使い勝手の面でユーザの期待とのギャップが大きかったことから、定着に至りませんでした。当社には1回クリックするだけでもストレスを感じる社員が多くいる中で、つながるまでに3クリックが必要でした。Wi-Fi、LTE、有線ネットワークなど通信規格が変わるたびにユーザが切り替えなければならないことも利便性の面で課題となっていました」と松尾氏は話す。
同社が求める理想的なモバイル環境について松尾氏はこう言及する。「社内ではパソコンを立ち上げたら常時接続で、ネットワークを意識することなく仕事に集中できます。社外でも社内と同じように仕事ができる環境を提供するべく、半年間製品を探し続けました。なかなか見つからず、自分たちでサービスをつくって対応することも考えました」
2018年5月、転機となったのは同社にネットワークを導入しているベンダーからの紹介だった。「モバイルVPNソリューションNetMotion Mobilityはまさに求めていたものでした。当初は、本当にできるのだろうかというのが正直な気持ちでした。2018年6月、トライアルで実際に検証してみると、不安は払拭され、確信に変わりました」と松尾氏は率直に語る。
スモールスタートで日常業務で利用し安定性を高く評価
同社は、米国ネットモーションソフトウェア社の製品NetMotion Mobility を、日本の販売代理店である丸紅情報システムズから購入することにした。その理由について「私が以前、海外ベンチャー企業の日本進出を支援する業務を行っていたとき、ある製品の最初の販売代理店に丸紅情報システムズになってもらいました。ただ製品を販売するだけでなく、技術支援や開発元との間で強固なパートナーシップを築いていく点を当時から高く評価していました。今回もネットモーションソフトウェア日本支社との関係性が強く、緊密な連携のもときめ細かいサポートが期待できました」と松尾氏は話す。
同社は2カ月間の検証後、2018年8月にNetMotion Mobilityを正式に発注。ソフトウェアベースのVPNソリューションという特長を活かし、最初にIT部門に導入しスモールスタートにより日常業務で利用していく中で不具合がないかを確認した。「実際に使ってみて驚いたのは、スマートフォンのテザリングでノートPCを使って社内システムにアクセスし利用した際、ネットワークを意識することなく安定してつながっていたことです。NetMotion Mobilityの利用を断念する要素は全く出てきませんでした」
03スモールスタートで日常業務で利用し安定性を高く評価
同社は、米国ネットモーションソフトウェア社の製品NetMotion Mobility を、日本の販売代理店である丸紅情報システムズから購入することにした。その理由について「私が以前、海外ベンチャー企業の日本進出を支援する業務を行っていたとき、ある製品の最初の販売代理店に丸紅情報システムズになってもらいました。ただ製品を販売するだけでなく、技術支援や開発元との間で強固なパートナーシップを築いていく点を当時から高く評価していました。今回もネットモーションソフトウェア日本支社との関係性が強く、緊密な連携のもときめ細かいサポートが期待できました」と松尾氏は話す。
同社は2カ月間の検証後、2018年8月にNetMotion Mobilityを正式に発注。ソフトウェアベースのVPNソリューションという特長を活かし、最初にIT部門に導入しスモールスタートにより日常業務で利用していく中で不具合がないかを確認した。「実際に使ってみて驚いたのは、スマートフォンのテザリングでノートPCを使って社内システムにアクセスし利用した際、ネットワークを意識することなく安定してつながっていたことです。NetMotion Mobilityの利用を断念する要素は全く出てきませんでした」
今回、NetMotion Mobilityによるモバイル環境の構築にあたって、同社は金融機関なみのセキュリティを求めたという。社外から社内のCRM(Customer Relationship Management、顧客管理システム)にアクセスするためだ。「当社のCRMは日本最大級のベンチャーデータベースです。投資先企業の情報などが記録されており、当社のいわば心臓部となります。投資部門はCRMにアクセスできないと仕事になりません。強固なセキュリティを担保するためにスマートフォンとノートPCを社給しています。NetMotion Mobilityはデバイス証明書発行に対応しており、社給品のモバイル端末からしか社内にアクセスできない仕組みを構築し、ルートを極小化することでリスクの最小化を実現しています」と松尾氏は話し、こう続けた。「NetMotion Mobilityの暗号化機能により通信時のデータを保護するとともに、モバイル端末は基本的に社内システムを通じてインターネットなどの外部とつながるためセキュリティの強化が図れます。利便性の面では、最高スペックのデバイスを提供することでユーザー満足度を高めています。利便性を向上することで社内標準ツールの普及を図り、ガバナンスの強化に結び付けています」
セキュアかつ安定したモバイル環境をベースに完全フレックス制を導入
2018年10月末、事務職を含む全社員を対象にNetMotion Mobilityを利用したモバイルワークを展開した。導入後、高い評価の声が聞こえてきたのが投資部門からだった。投資部門は外出先で面談中にノートPCを開いて社内のCRMにアクセスし、様々な情報を見ながらアドバイスを行いたいというニーズが強い。他社VPNサービスを利用していたときは、必要なときにいちいちVPNにつないでいた。一度閉じると接続が切れてしまうため再度調べものが発生すると、もう一度つなげなければならなかった。「もう面倒くさい。これでは業務が破綻します」という声が何度も寄せられていたと松尾氏は話す。今はノートPCの電源を入れるとNetMotion Mobilityが動作し、ノートPCに入力するパスワードで自動的にログインされ、一日中シームレスでネットワークが切り替わり、常時接続している状態で利用できる。「VPNを意識することなく、調べたいと思った瞬間にCRMにアクセスできる。導入直後に『これはいいですよ』と、投資部門のメンバーから声を掛けられました」と松尾氏は笑顔になる。
忙しい合間を縫って効率的に打ち合わせを行う上で、ビデオ通話を利用したビデオ会議のメリットは大きい。「NetMotion Mobilityを使ってビデオ会議を検証したところ、動画データの圧縮機能により4G回線でも細切れになることなくキレイな動画でした。今では日常業務でビデオ会議を違和感なく利用しています」
同社では事務職を含め全社員に完全フレックス制を導入、それにあたってNetMotion Mobilityを利用しセキュアかつ安定したモバイル環境を実現。「定型業務の多い事務職も社外でできる仕事が多くあります。当社には、社員が必ず出勤しなければならない時間帯であるコアタイムも存在しません。オフィスで仕事をしなければならないという概念がなくなりました。当社の働き方改革を象徴するのがオフィスの風景です」と松尾氏は話す。オフィスはフリースペースで社員が思い思いの場所で仕事をしている。またカフェスタイルのワークスペースでノートPCに向き合う社員もいる。「自身で仕事をより良くしようという意欲のある社員には、能力を最大化できる環境です。さぼろうと思えば、さぼることもできます。完全フレックス制では自己の規律が重要です」(松尾氏)
大雪による交通障害やインフルエンザ流行などが及ぼす業務影響の極小化も実現できたと松尾氏は付け加える。「本人はもとより、お子さんがインフルエンザにかかったとき、家で看護しながら社内システムにアクセスし業務を行うことが可能です」
丸紅情報システムズのサポートについて松尾氏は「製品品質が安定しているため問題なく利用していますが、運用していく中でNetMotion Mobility自体ではなく複合的な課題は生じてきます。丸紅情報システムズは開発元に対し迅速に問い合わせや仕様確認などを行い、その上で対処法のアドバイスを提供してくださり、とても助かっています」と話す。
次世代を担う起業家とともに、新たな産業や市場を生み出していくジャフコ。今や、水や空気のようにNetMotion Mobilityを利用していると松尾氏は話し、こう続ける。「もうなくてはならない存在です。私の知る限りにおいて、NetMotion Mobilityは最も有効なモバイルVPNソリューションだと思います。ベンチャー企業から働き方改革の相談を受けたとき、社内実践した例としてNetMotion Mobilityの話をすることもあります」
丸紅情報システムズは、これまで蓄積してきたリモートアクセスについての経験値を活かし、NetMotion Mobilityの提供を通じて安心・安全なモバイルワークを実現することで企業の働き方改革を加速させていきます。