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AIカメラとは?活用事例や導入メリットを解説

AIカメラとは、人工知能技術を活用して映像の解析や処理を行うカメラのことです。この技術は、防犯やセキュリティの強化、業務の効率化、マーケティング分析など、多岐にわたる分野で注目されています。特に、製造業の現場管理者やセキュリティ会社の担当者、IT部門のリーダーたちにとって、その導入は大きな関心事項となっています。
本稿では、AIカメラの基本的な機能や種類について詳しく解説し、エッジAIカメラやクラウドAIカメラの違いや特徴について紹介します。また、AIカメラの活用シーンを具体的な事例を交えてご紹介し、企業がどのようにして業務効率化やセキュリティ強化を実現しているのかを明らかにします。さらに、AIカメラのメリット・デメリットや選び方についても触れ、導入を検討する際の参考となる情報を提供します。

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AIカメラとは

AIカメラとは、人工知能を活用して映像の解析や処理を行うカメラのことを指します。

一般的なカメラと異なり、AIカメラは収集した映像データをリアルタイムに解析することが可能で、その結果を基にさまざまな判断を下せます。たとえば、人物の認識や行動の把握、異常検知などを自動で行い、適切なアクションを起こすことができます。具体的には、防犯やセキュリティの強化、業務効率の向上、マーケティングデータの収集と分析、作業員の安全管理など、多岐に渡る場面で利用されています。さらに、エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの両方に対応したモデルが存在し、リアルタイム性と大規模なデータ処理のバランスを取ることができます。このように、AIカメラは現代のデジタルトランスフォーメーションの一環として、多くの分野で重要な役割を果たしています。

AIカメラの種類

AIカメラにはさまざまな種類がありますが、一般的にはエッジAIカメラとクラウドAIカメラに大別されます。

エッジAIカメラ

エッジ AI カメラは、カメラ自体やカメラに接続するエッジBOXに搭載された処理能力を駆使して、リアルタイムで映像解析を行います。

これにより、データをクラウドに送信せずに、瞬時に分析結果を得ることができます。特に、リアルタイム性が求められる場面やインフラが整っていない場所での利用に適しています。

具体的な例として、防犯カメラでの侵入者検知が挙げられます。エッジAIカメラはすぐに異常を検知し、アラートを発することが可能です。このため、迅速な対処が求められるセキュリティ用途において効果的です。

また、製造業の現場では、作業員の安全や品質管理をリアルタイムで監視するために使用されており、事故の未然防止や効率的な作業環境の維持に寄与しています。これにより、作業の停止や遅延を最小限に抑えることができます。

このようにエッジAIカメラは、タイムセンシティブなデータ処理が必要な状況で大きなメリットを提供します。

クラウドAIカメラ

クラウドAIカメラは、カメラでキャプチャした映像データをインターネットを介してクラウドサーバーに送信し、そこで解析を行う仕組みです。このアプローチは、膨大なデータを扱えるため、詳細な分析や長期間にわたるデータ保存が必要な場面で有効です。

一例として、小売業での顧客行動分析が挙げられます。クラウドAIカメラは店舗内の顧客の動きや行動を記録し、それに基づいてマーケティング戦略を立案することができます。これにより、売上向上やサービスの最適化を図ることが可能です。

さらに、建設現場では、長期間にわたる施工プロセスの監視や進捗管理のために利用されています。クラウドにデータを集約することで、関係者間で情報を共有しやすくし、プロジェクト全体の管理効率を高めます。

このようにクラウドAIカメラは、大規模なデータ処理が必要なシナリオにおいて、その真価を発揮します。

AIカメラの主な機能

AIカメラには、さまざまな機能が搭載されています。これらの機能により、防犯や監視、業務効率化の面で大いに役立つことができます。

オブジェクト(モノ)検知

AIカメラの主要な機能のひとつに、オブジェクト検知があります。オブジェクト検知は、カメラの映像内で特定の物体を識別し、その位置や動きをリアルタイムで追跡する技術です。この機能は、多くの産業で広く活用されています。

たとえば、製造業では部品や製品の位置を正確に特定し、効率的なライン管理を実現します。また、自動車業界ではAIカメラを用いた無人運転技術が急速に進化しており、道路上の障害物や他の車を安全に識別するためにオブジェクト検知が重要な役割を果たしています。 さらに、セキュリティ分野でもこの技術は欠かせません。監視カメラが人や車の動きを自動的に検知し、異常が発生した際に警報を発するシステムは、施設の安全性を大幅に向上させます。オブジェクト検知は、その精度とリアルタイム性により、業務の効率化とセキュリティの強化に大いに寄与しています。

顔や姿勢(骨格)の検知

AIカメラのもうひとつの重要な機能として、顔や姿勢(骨格)の検知があります。この機能は、映像内の人物の顔や姿勢を検出し、認識する技術を指します。

顔認識技術は、防犯やアクセスコントロールに大きな効果を発揮します。たとえば、オフィスビルや空港などの高セキュリティエリアでは、この技術を利用して特定の人物だけが施設に入れるように設定することが可能です。さらに、一部の企業では出退勤管理システムとしても活用されており、顔認証による出勤記録が便利です。また、監視カメラが店内のお客様の顔を認識し、VIP顧客として自動的に対応するシステムもあります。

姿勢(骨格)の検知は、健康管理やエクササイズのサポートにも利用されています。たとえば、フィットネススタジオでは、この技術を使ってトレーナーがリモートでユーザーのフォームをチェックし、リアルタイムでフィードバックを行うことができます。医療分野でも、患者のリハビリテーション過程をより正確にサポートするためにこの技術が利用され始めています。

パターン検知

パターン検知は、AIカメラが映像内の一連の動作やイベントを識別し、それに基づいて適切な対応を行う機能です。この技術は、特定の条件下での異常検知や予測分析に非常に有効です。

たとえば、製造業では機械の異常動作をリアルタイムで検知するためにパターン検知が利用されます。これにより、故障の兆候を早期に発見し、予防保守を行うことでダウンタイムを最小限に抑えることができます。物流倉庫では、物品の移動パターンを分析して効率的な在庫管理が可能となります。

また、防犯面でも大きな効果を発揮します。たとえば、AIカメラが特定のエリア内での異常な移動パターンや繰り返し行動を検知すると、警報を発して警備員に通知します。これにより、不審者の早期発見や犯罪の未然防止が図られます。

さらに、マーケティング分析においてもパターン検知は重要です。小売業では顧客の購買行動を分析し、最適な商品配置やプロモーション戦略を立案するためのデータを提供します。このように、パターン検知は多様な分野で利用され、効率化と安全性の向上に寄与しています。

領域の検知

領域の検知は、特定のエリア内での動きや変化を監視し、異常が発生した際に通知する機能です。この技術は、防犯や管理業務において非常に有用です。

たとえば、ショッピングモールや空港などの広い公共施設では、特定のエリアに人が立ち入った瞬間にアラームを発するシステムが活用されています。これにより、不審者の早期発見やエリア侵入の防止が可能になります。

また、工場や倉庫では、危険エリアに作業員が立ち入ることを防ぐため、AIカメラがその動きをリアルタイムで監視します。万が一、危険な場所に作業員が入った場合には即座に警告を発することで、安全性を高めることができます。

さらに、小売業でも役立ちます。AIカメラが店舗内の特定エリアを監視し、商品の動きや棚の状態を把握することで、棚卸しや商品の補充を効率化することが可能です。特定の商品が多く手に取られている場合、その商品の需要が高いことがわかり、販売戦略の見直しにもつながります。このように、領域の検知は多岐にわたる業務で利用されており、効率性と安全性の強化に貢献しています。

AIカメラのメリット・デメリット

AIカメラには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

メリット

AIカメラの第一のメリットは、高度な防犯能力です。顔認識や不審者検知などの機能を持つAIカメラは、犯行を未然に防ぐ効果が期待できます。たとえば、顔認識技術を使用して特定の人物を識別し、危険を予測することが可能です。

また、業務の効率化にも大いに寄与します。AIカメラはリアルタイムで映像を解析し、異常検知や作業の監視が行えるため、人手による管理が不要になります。これにより、業務プロセスの自動化が進み、人件費の削減にもつながります。

さらに、データ分析の面でも非常に有用です。AIカメラは大量の映像データを収集し、顧客の行動パターンや製品配置の最適化に関する情報を提供します。たとえば、小売店では顧客の動きを解析し、商品を最適な場所に配置することが可能です。

これらのメリットにより、AIカメラはビジネスのさまざまな面で重要な役割を果たすことができます。

デメリット

一方、AIカメラにはいくつかのデメリットもあります。特に、初期の導入費用やシステムの維持コストが高額になることが多く、小規模なプロジェクトでは予算の制約から導入が困難な場合があります。

そのため、サービスの料金体系をしっかり確認することが重要です。たとえば、初期導入費用を抑えたい場合は、リース会社と協力して機器費用を月額制にしているサービス事業者を選ぶことで対策できます。また、維持費用を削減するためには、クラウドプラットフォームを活用し、低コストで運用を開始するなど、自社に適したサービスを検討することが必要です。

さらに、技術的なトラブルへの対策も重要です。AIカメラは高度なシステムであるため、技術的な問題が発生する可能性があります。システムのアップデートや問題の解決には専門的な知識が求められます。これらの課題に対処するためには、AIカメラの導入や維持管理をサービスとして提供している事業者に委託することが有効です。

これらのデメリットを踏まえつつ、AIカメラの導入を検討する際には、総合的な視点で判断することが重要です。

AIカメラの選び方

AIカメラの選び方を考える際には、いくつかのポイントに注意することが重要です。まず、利用目的を明確にすることです。防犯カメラとして使うのか、業務の効率化を目指すのかによって、選ぶべきカメラの機能が異なります。たとえば、防犯用なら高精度な顔検知機能が求められますし、業務効率化のためであればオブジェクト検知やパターン検知機能が重視されます。

次に、エッジAIカメラかクラウドAIカメラかを選定することも重要です。エッジAIカメラはリアルタイムでのデータ解析が可能で、遅延が少ないため即応性が求められる現場に適しています。一方、クラウドAIカメラは大規模なデータ処理や長期保存が必要な場合に最適です。

さらには、設置環境や予算も考慮することが欠かせません。カメラの設置場所によっては耐候性や耐久性が求められるため、屋外用のモデルを選ぶ必要があるかもしれません。また、高度な機能を搭載したAIカメラはその分価格も高くなるため、予算内で最も効果的に運用できるモデルを選ぶことが大切です。

AIカメラの活用事例

AIカメラは多くの業界でその特性を活かしてさまざまな用途に活用されています。以下に、具体的な活用事例をご紹介します。

【商業施設】大型商業施設の駐車場混雑緩和

大型商業施設における駐車場の混雑問題に対して、AIカメラを活用した解決策が注目されています。具体的には、駐車場内の各階に設置された複数のAIカメラで特定の車の静止画を撮影し、移動に要した時間を解析することで、出庫に要する時間をリアルタイムに把握できるシステムです。
このシステムを活用することで、特に土日や連休時などの混雑ピーク時に効果を発揮します。施設内のデジタルサイネージやウェブサイト上に「駐車場の予測出庫時間」を表示することにより、来場者の退店時間を分散させる効果が期待できます。これにより、顧客満足度の向上と同時に、効率的な車両誘導が可能となり、駐車場の混雑緩和を実現できます。加えて、店舗への滞在時間が増え、売上向上の効果も期待できます。

【小売業】顧客の属性分析による売上向上とオペレーション最適化

小売業におけるマーケティングでは、AIカメラを利用した顧客の属性分析が売上向上とオペレーションの最適化に大きく貢献しています。AIカメラは来店する顧客の年齢、性別、行動パターンをリアルタイムで解析し、そのデータを元にしたマーケティング戦略を立案することが可能です。たとえば、特定の時間帯に来店する顧客層に合わせた商品陳列やプロモーションの実施などが挙げられます。また、顧客の動線を分析することで、より効率的な店舗レイアウトを設計することが可能です。このような取り組みにより、顧客満足度が向上し、リピーターの増加が期待できます。さらに、店内でのリアルタイムな顧客の行動データを分析することで、ピークタイムのレジ待ち時間の短縮や、スタッフ配置の最適化も実現しています。

【鉄道業】映像解析による滞留者検知、踏切事故防止

鉄道業においては、AIカメラを活用した滞留者検知、踏切事故防止ソリューションが活用されています。踏切道に設置したカメラの映像をAIが画像解析し、列車接近時、踏切道等に取り残された人を検知した場合、非常通報装置を動作させることで、いち早く列車や関係部署に知らせることが可能となります。

【製造業】リアルタイムな作業員の安全管理を強化

製造業の現場では、AIカメラを使用したリアルタイムな作業員の安全管理が進んでいます。作業員の姿勢や動きを検知することで、事故のリスクを事前に察知し、適切な対応が可能です。たとえば、特定のエリアへの侵入をリアルタイムで通知したり、危険な行動を察知して警告を発することができます。このようなシステムにより、現場での安全性が大幅に向上しました。また、データの蓄積と分析により、安全管理体制の改善が継続的に行われる点も大きなメリットです。具体的には、過去の事故データを元にした予防策の策定や、作業員の安全意識向上のための教育プログラムの強化などがあります。これにより、製造現場全体の安全性と効率性が向上し、従業員の安心感も得られています。

【土木・建設業】施工プロセスの効率化

土木・建設業において、AIカメラは施工プロセスの効率化に寄与しています。AIカメラは現場の進捗状況をリアルタイムで把握し、作業の遅延を未然に防ぐことができます。たとえば、特定の工程が予定通りに進んでいない場合、AIカメラはその原因を迅速に特定し、適切な対策を講じることができます。これにより、施工期間の短縮が実現し、コスト削減にもつながります。また、AIカメラは品質管理にも有効です。施工中の検査をリアルタイムで行うことで、施工不良を早期に発見し、修正が可能です。さらに、現場の安全管理としてもAIカメラは役立ちます。作業員の安全管理や危険箇所の特定など、リアルタイムでの安全監視が行えます。こうした活用により、現場全体の効率性と安全性が飛躍的に向上しています。

AIカメラを活用し業務課題の解決を図る

AIカメラは、人工知能技術を活用して映像を解析・処理することで、幅広い分野での利用が期待されています。
丸紅I-DIGIOグループでは、AIカメラを活用した次世代型映像監視サービス「TRASCOPE-AI」を提供しており、小売業や鉄道業のお客様を中心に多数の導入実績があります。今後も最先端のAI映像解析技術を活用し、さまざまな業種のお客様の課題解決をご支援していきます。

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